<たまゆら火災>増改築重ね違反14件(毎日新聞)
2010年 02月 12日
◇火気使用の基準満たさず
捜査本部によると、建築基準法と同法施行令の違反は計13件。避難経路に増改築された壁計6カ所▽火元付近とみられる西側奥の居室の天井▽食堂の内壁−−の8件は耐火材を使用せず、燃えやすいベニヤ板などを使用していた。さらに、食堂には調理場などに必要な不燃材を使用していないなど、全体が火気使用の基準を満たしていなかった。また、05年8月に北別館の北側に増築された居室(時効)▽06年9月に増築された食堂(同)▽07年5月に増築された火元付近とみられる西側奥の居室▽西別館の事務所−−の計4件は建築確認申請をしていなかった。
このほか、食堂出入り口の南京錠▽居室と食堂を結ぶ引き戸のつっかい棒▽火元付近とみられる西側奥の居室から食堂に抜ける引き戸−−の3カ所は出火当時、徘徊(はいかい)防止のため施錠されていた。食堂の南京錠は避難口を施錠しており、渋川地区広域市町村圏振興整備組合火災予防条例違反に当たるという。
捜査本部が昨年11〜12月、施設を再現して実施した燃焼実験では、耐火材を用いた施設に比べ、燃え広がるのが10分以上も早かったといい、耐火材の不使用が被害を拡大した要因とみて調べる。
◇理事長「施錠を指示」…避難、事実上不可能
業務上過失致死の疑いで群馬県警渋川署捜査本部に逮捕された「彩経会」理事長、高桑五郎容疑者が捜査本部の調べに対し、「施設内の施錠は私が指示した」と供述していることが11日、捜査幹部への取材で分かった。捜査本部は、避難経路にある引き戸3カ所が出火当時、徘徊(はいかい)防止のため施錠されており、「入所者の避難は事実上、不可能だった」とみている。
高桑容疑者は出火5日後の昨年3月24日の会見で、「徘徊しないようにしろと言った」などと話す一方で、「通路に錠はない。つっかい棒をしろという指示はしていないが(つっかい棒をしていることは)知っていた」などと、あいまいな説明をしていた。
元ヘルパーの女性は11日、毎日新聞の取材に対し、「施錠は入所者を拘束することになるので、どうしても必要なら(入所者を紹介した東京都墨田区などに)報告してからにすべきだと、高桑容疑者に何度も意見した。避難経路の確保も訴えたが、現場に反映されなかった」と話した。
捜査本部は、たまゆらが高齢者の入浴や排せつ、食事の介助などをしていたことから、実質的に有料老人ホームに該当すると判断。業務上の注意義務が発生すると認定し、さまざまな違反を総合して強制捜査に踏み切った。捜査本部は11日午前、彩経会の事務所や高桑容疑者の自宅など計7カ所を業務上過失致死の疑いで家宅捜索し、会計書類やパソコンなど30点を押収した。【鳥井真平、塩田彩】
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